グリッドトレード手法は含み損を常に抱える手法であり、含み損の増加の仕方も非常に速いです。それゆえにトラリピやループイフダンといったグリッドトレード手法サービスは危険であると表現されるケースがあります。しかし、手法そのものが危険なのではありません。
グリッドトレードにおける最大リスク「含み損」に対して無知でいることそのものが危険なのです。
グリッドトレードはFXで資産運用するための最適解の一つですが、弱点である含み損を正しく理解する必要があります。ということで本記事では、
自分の資産を守るために、グリッドトレードの含み損リスクを正しく理解・計算できるところがスタート地点です。本記事を読み終えた方は、含み損をすぐに試算できるようになるかと思います。
グリッドトレードの含み損を暗算レベルで試算する方法
グリッドトレードの含み損というテーマでは過去にもいくつか記事を掲載しています。その中には「含み損は等差数列の和」となり「増加スピードは指数関数」である・・・のような難しい表現をしているものもありますが、今回の記事ではそういう話は一切なしで出来るだけ簡単に見ていきます(以下、ドル円買いを例にとって進めます)。
まず最初の確認です。複数ポジションを取った場合の含み損の合計額は以下です。
=(平均建値-現在価格)×合計ロット
=平均損失幅 ×合計ロット
株取引やFXでナンピンして平均建値を下げるといった手法がありますがそれと全く同じです。
具体的な計算をしてみます。平均建値が1ドル105円で現在価格が100円だったとし、合計ロットが5万通貨だったとします。この時の含み損は上の式にあてはめて 5円分の損失幅 × 5万通貨 = 25万円となります。
これくらいの算数なら暗算レベルですね。ここから先はグリッドトレードの解釈を加えていきます。
まず左項の平均損失幅ですが、グリッドトレードにおける平均損失幅ですが、同一ロットを等間隔にポジションを取るので非常に簡単です。
これだけです。具体例を示すなら1ドル110円の買いポジションを保有していて、100円まで下落で拾い続けたときの平均損失幅は10円の半分である500Pips(5円分)となります。図で示すなら以下になります。
ちなみに平均損失幅は注文間隔が10Pipsであろうと50Pipsであろうと概念は同じです。保有しているポジションの中央値が平均建値となるので、下落幅の半分が損失幅となります。
次に右項の合計ロットを見ていきましょう。
=取引ロット × ポジション数
=取引ロット × (下落幅 ÷ 注文間隔)
ポジション数は下落した値幅と注文間隔から求められます。例えば1ドル110円から100円まで下落したら1,000Pips分の下落となります。これに対して注文間隔が 20Pips(20銭)なら 1,000÷ 20 = 50 となります。取引ロットが1,000通貨で50ポジションであれば、合計ロットは5万通貨となります。ここも難しいことはありませんね。
それでは、両項目を掛け算して含み損を求めてみます。
= 平均損失幅 × 合計ロット
= 500Pips × 5万通貨
= 25万円
小学2年生でも計算できるくらいの簡単なレベルです。しっかりと概念さえ腹落ちすれば計算自体は非常に簡単で、暗算できるレベルなのが分かるかと思います。
含み損の超簡単な計算方法(練習)
理解度を深めるために少し練習してみましょう。
[ケース1.取引ロット=1,000通貨、注文間隔=25Pips、110円から100円まで下落した場合]
平均損失幅は110円から100円の下落1,000Pipsの半分なので500Pips です。
合計ロットは 1,000Pips ÷25Pips = 40ポジションあるので4万通貨です。
含み損は 500Pips × 4万通貨 = 20万円 となります。
どうでしょうか。暗算できましたでしょうか。
もう一つ、ループイフダンを引き合いに練習してみましょう
[ケース2.取引ロット=1,000通貨 ループイフダンのUSDJPY B15_15(注文間隔=15Pips)、コロナショック前の高値 112円から100円まで下落した場合]
平均損失幅は112円から100円の1,200Pipsの半分なので 600Pipsです。
合計ロットは 1,200Pips ÷15Pips = 80ポジションあるので8万通貨となります。
含み損は 600Pips × 8万通貨 = 48万円 となります。
計算できましたでしょうか。難しいことは一切ありませんね。
まとめ
含み損の超簡単な計算方法ということでご紹介しました。ポジション数を多く採る手法ではありますが、含み損の算出については難しく考える必要はありません。
グリッドトレードの解釈を加えた形で計算式を振り返ります。
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下落幅の半分 下落幅を注文間隔で割る
相場が激しく動いたり、不安定になった、思惑と逆の方向に強い方向感が出た・・・といった際にはすぐに含み損を試算し、自身の口座の危険度がどの程度なのか把握することを最優先で実施してください。どれくらい危ないか・・・それを知らずしては対策が必要なのか否かも分かりません。
ループイフダンは推奨資金といったコンテンツがありますが、過去にはその推奨資金ではショートして口座が飛ぶようなケースもありました。よく分からずに奨められたままに運用していたのでは自己防衛できないです。
自身の資産は自身で守る!それを実践するためにも含み損についての理解は深めておきましょう。自身の資産運用において、含み損リスクは自分で判断できるような知識をぜひ身に着けていただければと思います。